
納骨とは、ご遺骨をお墓や納骨堂に納めることです。
大切な人を失い悲しみの中にある遺族が、気持ちを整理するためのとても大切な儀式です。
後悔や失敗のないよう、ぜひしっかり準備してその日を迎えたいですね。
この記事では、納骨の時期や、都立霊園である多磨霊園で納骨する場合の注意点、手続き方法や費用などについて、詳しくお伝えしていきます。
目次
多磨霊園の特徴は?
多磨霊園は都内に8か所ある都立霊園のひとつです。
緑に恵まれた環境の良さと、比較的手ごろな価格という理由で、大変人気のある霊園になっています。
山本五十六や江戸川乱歩、「サザエさん」の長谷川町子さんなどたくさんの著名人が眠っているため、お参りに来る人が絶えません。
お盆やお彼岸の時期には大変にぎやかになり、いつもの静かなたたずまいとはまた別の姿を見せてくれます。
また近年人気の高まっている「納骨堂」があることも人気の理由のひとつです。
納骨堂につきましては後ほど詳しくお伝え致しますね。

納骨はいつ行うもの?都立霊園ならではの注意点

納骨をいつ行うかという具体的な時期については、実は法的な決まりは何もありません。
四十九日の法要の時に行う場合もありますし、しばらくご自宅やお寺で安置した後、一周忌のタイミングで納骨する場合もあります。
すでにお墓がある場合は、四十九日の時に行うことが出来るでしょうが、お墓がまだない場合は難しいでしょうから、その後のご遺族のタイミングで行って差し支えありません。
しかし都立霊園の場合に限っては、墓地の使用許可日から3年以内に納骨しないといけないので注意しましょう。
多磨霊園の申し込み方法

都立である多磨霊園は、一般の霊園とは手続き方法が異なりますので、まずは申し込み方法からしっかりチェックしましょう。
年に1回しか募集がないので要注意です。
1、多磨霊園の申し込み期間
多磨霊園に限らず都立霊園は、例年6月末~7月中旬くらいにかけて募集が始まります。
詳しい日程は、東京都公式サイトで確認することが出来ます。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/05/23/01.html
(上記URLは2019年度の情報です。最新の情報は東京都公式サイトをご確認ください。)
ちなみに、2019年度の倍率は1.5倍でした。
多磨霊園は面積が広いので募集数も多く、他の都立霊園と比べたら低めの倍率になります。
2、多磨霊園の申し込み資格
同じ都立でも、霊園によって申し込むことが出来る資格が異なります。
多磨霊園に申し込むには、以下の資格を満たす必要がありますのでご注意ください。
- 違う墓地からの改葬(お墓の引っ越し)は申し込めません。
- 祭祀の主催者とは、将来に渡りご遺骨やお墓を守っていく方のことです。
多磨霊園でかかる費用はどれくらい?
先ほどもお伝えしたように、多磨霊園は都立なので一般の霊園に比べたらかなり安い費用で利用することができます。
一般埋蔵施設(一般的なお墓)の場合(2019年度東京都公式HPより)
都立霊園が安いとはいえ、墓地の広さや形体によって、費用は以下のように大きく変わってきます。
施設使用料 | 1,620,000~5,895,000円 |
年間管理料 | 1,320~4,620円 |
【重要】
ここでひとつ重要なことをお伝えします。
申し込み時に面積や場所を選ぶことは出来ません。抽選後の交換も変更も出来ません。
ですから、予想外の費用の場所が割り当てられる可能性もありますので、それを了承してから申し込みましょう。
また、納骨堂の場合は費用が変わってきますので、それは後ほどまとめてご紹介いたしますね。
- 都内に5年以上継続して居住していること
- 一度も埋蔵(埋葬)したことのない遺骨を持ち、申込者は、申込遺骨の祭祀の主宰者であること
納骨の手続きについて

多磨霊園での納骨の手続き方法と必要な書類についてお伝えします。
1、東京都霊園使用許可証を発行してもらう
抽選を通り審査がおりたら、使用料と管理料の支払いを行います。
そのあとに使用許可証が発行されます。
これはとても重要な書類で、紛失したら再発行の手続きが必要になるので、ご注意ください。
2、火葬許可証(埋葬許可証)を用意する
各自治体で死亡届を出したときに発行されます。自治体によって名前が違うことがありますので、詳細はお住まいの自治体窓口でご確認ください。
墓石建立について
納骨を行うためには、墓石の建立が不可欠です。
多磨霊園では特に指定の石材店があるわけではないので、ご自分で探して発注する必要があります。
まとい石材のサービス詳細につきましては、こちらをご覧ください。
開眼供養とは?
開眼供養とは、新しく建てたお墓に魂を入れ込む大切な供養です。
供養であると同時に、お祝い事でもあるので、終了後は僧侶や参列者の方々と会食を行うのが一般的です。
喪服でなくて構いませんが、落ち着いた服装を心がけましょう。
きらびやかなアクセサリーや露出の多い服はNGです。
開眼供養と、このあとお伝えする納骨式は、別々に行うこともそれぞれ単独で行うこともあります。
納骨式の流れとマナー

納骨式とは、遺骨をお墓に納める儀式のことです。
先ほどもお伝えしたように、いつまでに遺骨を納めなければいけないという決まりはありませんが、都立霊園の場合は、許可が下りてから3年以内に行わないといけません。
1、納骨式の流れ
遺族代表の挨拶
まずは参列者の皆様へのご挨拶をします。
皆様への参列への感謝と、今後の変わらぬお付き合いのお願い、遺族の現在の状況や心境などを丁寧にお話します。

納骨
石材店にお願いしている場合は、石材店の方がカロートを開けて納骨をしてくださいます。
※カロート … お墓の下の遺骨を納める部分。

読経
僧侶による読経が始まります。
納骨式は墓の前でやる場合が多いので、寒さ、暑さ対策も考えておくといいでしょう。

お焼香
読経が終わりましたら僧侶のご指示に従い、お焼香を行います。一巡したら終了です。
御焼香のマナーは宗派によって異なるので、僧侶に確認すると安心です。

お供え
個人の好きだったものをお供えしましょう。
都営墓地では、カラスによる食い荒らしや大量のゴミに苦慮しているので、
納骨式終了後には必ず引き上げましょう。
2、納骨式のマナー
服装は、四十九日までであれば喪服、それ以降は略式喪服(黒・紺・グレー・茶のスーツなど)で構いません。
石材店にお願いしている場合は、お花も準備してくれることが多いのですが、自分で用意する場合は、花びらの落ちやすい花、匂いの強い花は避けましょう。
いま人気の納骨堂ってどういうお墓?

最後に、多磨霊園にもある、最近とても人気の納骨堂についてお伝えします。
核家族化や埋葬に関する価値観の多様化に伴って、自分のライフスタイルに合ったお墓を求める人が出てきました。
その中で「新しいお墓の形」として人気が出てきているのが「納骨堂」です。
1、納骨堂はどんなお墓?
納骨堂とは、個人・夫婦・家族といった様々な単位でご遺骨を収納出来る「納骨スペース」のことです。
室内で設けられていることが多く、昔ながらのお墓を「一戸建て」とするのなら、納骨堂は「マンション」のような納骨方法です。「ロッカー式納骨堂」とも呼ばてています。
2、納骨堂が人気の理由とは?
現在では、従来の日本の風習のように、先祖代々が同じお墓に入る、ということが難しくなってきました。
核家族化・少子化によって、お墓の継承者がおらず、やがて無縁仏になってしまう懸念や、子どもたちに負担をかけないよう、近隣にあり手入れも簡単な納骨堂を選ぶ人が増えてきているのです。
また、高齢になってお墓参りが大変になったから、という理由で納骨堂に改葬(お墓の引っ越し)するケースも増えています。
3、多磨霊園の納骨堂の特徴
多磨霊園の納骨堂は、みたま堂(長期収蔵施設)という名称です。
費用は遺骨の納められる数によって異なります。(2019年度東京都公式HPより)
種別 | 施設使用料 | 年間管理料 |
---|---|---|
6体用 | 379,000円 | 5,240円 |
4体用 | 303,000円 | 4,190円 |
2体用 | 227,000円 | 3,140円 |
使用出来る期間は30年ですが、更新することも出来ます。その際は別途使用料が派生します。
実は、都立霊園で納骨堂があるケースは少ないので、みたま堂の人気もとても高まっています。
2019年度の倍率は30.1倍でした。全募集墓地中で、青山墓地の14.4倍をはるかに超える一番の人気です。
もともとの数も一般墓地ほどはないので、今後も倍率が下がることはなさそうです。

今回は多磨霊園で納骨する場合の手順や注意点についてお伝えしました。
納骨堂が人気とはいえ、やはり昔ながらのお墓がいいという方もたくさんいます。
青空や芝生の広がる霊園で、ゆっくり故人を偲ぶのも素晴らしい時間ですよね。
お墓を考えるということは、あなたのライフスタイルやご先祖、子孫のことまで考えるいい機会になるのではないでしょうか。